技術と開発

SlimeVRトラッカーを選ぶときの主な比較ポイント

seironsyugi

スライムVRに興味を持った皆さんが一番知りたいことは、「どれを買えば良いのか?」ということではないでしょうか。
というのも、SlimeVRはオープンソースプロジェクトとして開発されており、誰でも設計を基にトラッカーを制作・販売できる仕組みになっています。

その結果、公式から出ている完成品だけでなく、個人の開発者さんや小規模サークルが独自にカスタムしたモデルも多数流通しています。
これは選択肢が豊富という意味では良いことなのですが、同時に「何を基準に選べばいいか分からない!」という悩みも生まれがちです。

そこでここでは、SlimeVRトラッカーを購入する際にチェックしておきたい「消費者目線での比較ポイント」をご紹介します。

1.セット内容(何点セット?どの部位をカバー?)

SlimeVRでは複数のセンサーを体の各所に装着することで全身の動きをトラッキン最低グします。
一般的な構成は「5点」です。
SlimeVRを使いたい場合は最低5点必要になります。
しかし、必要なトラッカー数は目的によって異なります。

  • 5点セット:胸・両足・両太もも。最低限の全身トラッキングに。
  • 8点セット:+腰と左右の足先(足の甲)。より滑らかな動きを求める人に。
  • 20点セット:上半身や背中の補正にも強く、動きがより自然に。

5点の場合

8点の場合

20点の場合

引用元:SlimeVR Serve(v0.14.1)

実際は5点~20点の間で柔軟に対応可能です。
自分がどこまでの精度や滑らかさを求めているかで、セット内容を選びましょう。
また、後々追加で欲しくなった時のために、追加で購入できるかを考えるのも良いでしょう。

SlimeVR対応のトラッカーであれば、5点をA社で購入し、追加で欲しくなった場合の2点をB社から購入して使うなどの使い方も可能です。

2.接続方式(無線 or 有線?)

ほとんどのSlimeVRはWi-Fi接続の無線タイプですが、中にはUSB接続の有線モデルもあります。

  • 無線タイプ:取り回しが自由。VRダンスや立ち回りに最適。
  • 有線タイプ:ラグがほぼ無く、安定性が高い。PC周辺での使用に向いているが……
有線接続は「理論上可能」だが……

技術的には、USBなどを使って有線接続でデータを送ることも可能です。ただし、以下のような理由から、実用的ではありません。

  • 全身で使う5〜7個のトラッカーをPCに有線接続するには、USBポートが足りない/ハブが必要になる
  • 各部位からケーブルが伸びているため、体の動きを制限する/絡まるリスクがある
  • トラッカーの構成によっては、センサーと制御部を分けているため、体中に配線が必要になる

そのため、現在流通しているSlimeVRトラッカーのほとんどは、制御・電源・センサーが一体化したシンプルな無線構成(いわゆる”オールインワンタイプ”)が主流です。

3.バッテリー・充電性能

SlimeVRのトラッカーは、給電方式によって使い勝手やコスト、安全性に違いがあります。大きく分けて以下の3タイプが存在します。

バッテリー内蔵型

内蔵バッテリータイプは、一見すると配線が少なくシンプルで扱いやすそうに見えます。しかし、安全で信頼できるリチウムバッテリーを個人で調達するのは難しく、膨張や発火のリスクがある点に注意が必要です。

USB給電型(外部モバイルバッテリー)

こちらは、USBケーブルで外部バッテリーから給電する方式。安全性は比較的高く、充電もしやすいですが、各トラッカーごとにモバイルバッテリーを装着する必要があり、体に装着するのがやや煩雑です。腰にまとめてHUB経由で配線する方法もありますが、腕などの動きを阻害することもあります

乾電池給電型

市販の乾電池などを使って駆動するタイプです。充電が必要ないので、電池切れの場合も即座に交換が可能です。
配線が必要ない一方で、毎日のようにVRを楽しむなら使い捨て乾電池だとコストが嵩みます。充電式乾電池を揃える必要があり、初期コストがかさむというデメリットも。

給電方式メリットデメリット
🔋バッテリー内蔵型配線が少なくスッキリ/身軽バッテリー入手が難しい/安全性に不安あり
🔌USB給電型(外部)充電しやすい/市販モバイルバッテリーが使える複数の配線が必要/装着が面倒/動きに干渉することも
🔋乾電池給電型配線が少なくスッキリ/市販乾電池が使える/簡単に交換できる毎回の交換が必要/充電池を使うなら初期費用アップ
まとめ

とにかくスッキリ使いたいなら 内蔵型(安全な部品選定ができる場合のみ)

乾電池の交換が面倒な方は USB給電型

スッキリ長時間使いたい方は 乾電池型

KooTA
KooTA

個人で安全なリチウムバッテリーが入手出来れば、使いやすさはバッテリー内蔵型一択なんですけどね。現状はなかなか難しいです。
皆さんもバッテリー製品にはご注意下さい。

自分は、音楽イベント等で長時間VRに入らなければならなかったりして充電が心配になる事が多いため、USB給電+乾電池給電も出来るららとらを開発しました。

4.取付方法・外装・重量

SlimeVRトラッカーを選ぶうえで、「どのように体に固定するか」「外装の形状・サイズ感」「重さ」も非常に重要なポイントです。快適にトラッキングを楽しむために、これらを事前に確認しておきましょう。

取り付け方法(固定のしやすさ)

ストラップが付属するかどうかは案外重要です。
また、ストラップが付いていない場合でも、製品のケースはストラップ等が通しやすいのかどうかなど、身に着けて使うアイテムだからこその検討が必要になります。

外装(大きさ)

外装の大きさは、装着感や干渉のしやすさに直結します。
トラッカーの実寸サイズ(縦×横×高さ)は、購入ページなどでチェックしましょう。

KooTA
KooTA

自作基板で小型化を目指したのがららとらです!
市販の基板を組み合わせてSlimeVRのトラッカーを製作することも出来ますが、どうしても大型化してしまうので、極力小さくなるように頑張りました!

重量(軽さと安定性のバランス)

重量も外装と同じく装着感や干渉のしやすさに直結します。
動きによるズレや不快感が出る可能性も

KooTA
KooTA

ららとらの場合は、乾電池・ケース(※試作中)込みで69グラム。
ヤクルト1本より軽い!

基板をUSB給電のみで使用する場合は、12グラム(別途ケースは必要)なのでさらに軽くなります。

快適にVRを楽しむには、取り回しやすさと装着感のバランスが非常に重要です。購入前にレビューや写真で確認することをおすすめします。

5.サポート体制・信頼性

  • 日本語対応の取扱説明書があるか
  • ユーザーのレビュー・トラブル報告があるか

性能が似ていても、サポート体制は大きく異なることがあります。
壊れても製品サポートがないといったケースもあるため、実績や販売者の信頼性も重要です。

KooTA
KooTA

個人開発は製品を安く手に入れられる一方、急な開発中止・販売中止・サポート終了もあり得ます。
VR機器はメーカー品でも納期延長はよくあるので安心出来ないんですけどね……
SlimeVRの場合は、開発者が開発を中止したからと言ってすぐに使えなくなるわけではありませんが、何かあった場合のサポートを受けられないと困りますよね。
自分もららとらを販売したばかりなので、実績不足ではありますが、良い製品を届けられるよう邁進します!

6.価格とコストパフォーマンス

  • 初期費用だけでなく、送料や関税も含めた総額で比較しましょう。
  • 国内販売か海外通販かによって、到着日やサポートの対応も大きく異なります。
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おわりに:自分に合ったトラッカーを選ぼう

SlimeVRはオープンソースであることから、さまざまな開発者が多彩な仕様のトラッカーを製作・販売しています。そのため、「どれが正解」というものはなく、ご自身の用途や環境に合ったモデルを選ぶことが何より大切です。

この記事で紹介したように、

  • 接続方式(Wi-Fi / 有線)
  • バッテリー性能と充電方式
  • 取り付け方法・外装・重量

といった点を事前にチェックすることで、購入後の「思っていたのと違った……」というトラブルを防ぐことができます。

特に、快適なVR体験を求めるうえでは、装着感や重量バランス、バッテリーの取り回しやすさなどが非常に重要です。自作派の方も、完成品を購入する方も、ぜひ比較ポイントを参考に、納得のいく1台を見つけてください。

今後もSlimeVR関連の記事を随時更新していきますので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

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