実はclusterの役割って「国際展示場」なのでは、という話
clusterというメタバースアプリがあります。
ただ正直に言うと、他のVRSNSと比べると「パッとしない」と言われがちです。
同説数も、どうしてもVRChatと比べると少なめ。
大物アーティストやアスリートが絡むイベントがあると一時的に人は増えるものの、
その後ユーザーが定着しない、というのもよく聞く話です。
でも、これって本当に「弱点」なんでしょうか。
個人的には、逆に「イベントに強い」と捉えたほうが、しっくり来る気がしています。
「華やかなVR」を極めたVRChat
VRChatはポリゴン制限がかなり緩く、
数十万ポリゴンの衣装も当たり前になってきました。
年々、表現はどんどん豪華に、華やかに。
その分、各ユーザーのPC負荷も増えていきますが、
「美しくて、派手で、特別なVR体験」ができる場所になっています。
昔はVRChatも制限が厳しくて、
VRoidですら自前で軽量化しないとアップロードできない時代がありました。
(当時のVRoid自体に軽量化機能が少なかった、という事情もありますが)
時代が進み、VRChatは
「より美しいVR」を追求するプラットフォーム
として、はっきり方向性を定めた印象です。
いわゆる「スタンミショック」でclusterのユーザーが増えない理由として、
「知名度が低い」
などの理由をあげられている方がいましたが、
スタンミショックの際にclusterにもう少し知名度があってもユーザーの流入は少なかったはず、と個人的に思っています。
話題になった直後に「スタンミショック」でVRに興味を持った新規ユーザーと会話する機会がありましたが、「美しくて、派手で、特別なVR体験」に興味を持って始めた人が多いなという印象でした。
話したユーザーは皆さんお若くて(高校生くらい!)VRに対する順応も高く、新しくVR機器を購入し、自分でアバター改変を行い、それこそ数十万ポリゴンの衣装を煌びやかに纏う姿はとても……色々な意味でキラキラしていて眩しかったです。
clusterは「同じ土俵」に立たなくていい
一方のcluster。
アップデートを重ねて、ワールドギミックなども充実してきていますが、正直、制限が多いと感じる部分は今でもあります。
アバターは7万2千のポリゴン制限。
VRChat向けに販売されているアバターや、
今話題の数十万ポリゴン衣装は、基本的にそのままでは使えません。
アクセサリーを駆使しても、メッシュ(ポリゴン)はMAX2000。
それを3つつけても78000……
テクスチャ・シェーダーなどにも大きな制限があります。
clusterでも
「VRできるし、アバターもアップできるよ!」
というアピールをしている人もいますが、
この軸でVRChatと張り合うのは、かなり分が悪いと思っています。
そして、仮に制限を緩くしたとしても、
それはそれでスマホでもある程度快適に参加出来るというclusterの良さが消えてしまう気がします。
clusterの本質は「メタバース界のインフラ」
じゃあ、clusterの強みは何か。
個人的な結論はかなりシンプルです。
clusterは、イベント開催のためのインフラが完成されている。
- スタッフ、ゲストなどを権限で分けられて、運営がとにかく楽
- イベント開始時刻になると、自動でワールドに入れる
- チケット制も、多少わかりにくさはあるが運用でカバー可能
- JASRACやNexToneと包括契約済み
- 最大500人という多人数参加が可能
- ボイス・チャット・エモートなど多彩なコミュニケーション方法が可能
- VR・デスクトップ・スマートフォンなどどのデバイスでも参加可能
イベントの時に人数が増えるということは、イベント会場としての役割は果たしているということです。
JASRACやNexToneと包括契約済み
→ プラットフォームから申請すれば楽曲利用ができる
というのは、現在VRChatではユーザー側が費用を負担したり、試行錯誤している部分なのですがそれがまるっとプラットフォーム側で管理してくれているというのはとてもありがたい部分です。
(と書いた傍からサンリオがJOYSOUND引き連れてVRChatにやってきているので、今後はどうなっていくのか面白い部分でもあります)
つまり、
楽に・法的にクリアに・大規模イベントを開催できる。
これは本当に強い部分だと思っています。

VRChatの「不便さ」は、特別感でもある
VRChatの場合、
・どういった形式で開催されるのか調べる
・誰がインスタンスを立てるのか調べる(代表がイベントを立てるのか、別の人が立てるのかに応じてフレンド申請を送っておく人が変わったりする)
・グループ機能は便利だけど、グループ特有の面倒さもある
・楽曲利用は管理団体と個別契約が必要
・人数制限で待機列が発生することもある
・チャットなどの導入もあるがボイス主体のコミュニケーション
正直、不便です。
でも、この不便さが
「選ばれた人だけが集まる特別な空間」
という演出にもなっているのは確かで、
そこがVRChatの魅力でもあります。
clusterを国際展示場と例えるのなら、VRChatは劇場や、ディズニーランドのような場所ですね。
(どちらも日常的な交流は出来るという前提で、あえて例えるとするなら。)
コミュニケーションの方法に関してですが、ボイスを使わない人はVRChatでは「無言勢」と呼ばれ。それはそれで、地位を得ている(市民権がある)のかもしれませんが、ボイスを使う人とは「別のジャンルの人」と区別されているとも言えます。
clusterの場合は「チャットすら使わないエモート勢」「チャットのみ」「チャットとボイス使い分ける人」など色々いますが、とくに専用の言葉で分けられていないように思えます。どのデバイスでもある程度コミュニケーションが取れるので便利ですね。
しかも、本人から申告されない限り、スマホからログインしていても他人からはほぼ分かりません。
私はイベント中の雑談で、案外clusterはスマホからのユーザーも多いのだと知りました。スマホの人もVRの人も普通に一緒の空間に居られるというのは案外スゴイことじゃないですか?(VRChatでは試行錯誤中の部分です)
個人的には、clusterは「VRで入りたい日」「デスクトップでボイスだけで入りたい日」「チャットだけにしたい日」「チャットすら億劫でエモートだけの日」「夕食中に見たいイベントがあるのでスマホから入る日」なども、使い分けできるので好きです。
VRChatも好きですが、やはりVRでボイスを使うのが一番便利で、それ以外は不便。という印象が私の中には強くあります。
国際展示場は、毎日満員じゃなくていい
ここで、ふと思うんです。
国際展示場って、イベントが無い日に閑散としていて問題ですか?
たぶん、誰も問題視しません。
イベントが無い日に「国際展示場は人が少ない。終わったコンテンツだ」なんて言い出す人いませんよね?
だから私は、clusterは「常に賑わっていなくていい」のではと思っています。
(私はロビーライブを聞くのが結構好きなので、賑わってた方がもちろん嬉しいですよ)
・イベントがある日は、一気に人が集まる
・ない日でも、集まりたい人はカフェや集会所感覚で気軽に使える
・インフラとして、必要な時にちゃんと機能する
そんな
イベント特化+日常利用もできるメタバース
として、clusterが広まっていったら、かなり面白いんじゃないかな、と。
clusterは地味なんじゃない。
ただ、役割が違うだけなんだと思います。
ユーザーを競わせた方が手っ取り早い
clusterでよく話題に上がる問題のひとつが、資金繰りです。
ただ、外から見ている限り、clusterはそこに対してもどこか独特な距離感を保っているように感じます。
過去には、イベントをランキング形式で表示する施策が検討されたこともありましたが、
ユーザーからの反発もあって取りやめになった、という話を聞きました。
正直に言えば、
「お金を集めたいだけなら、もっと簡単な方法はいくらでもあるよなぁ」
と思ったんです。
ユーザー同士を競わせて、
投げ銭ランキングを作って、
目に見える数字で煽る。
これは他の配信アプリやプラットフォームでは、すでに一般的なやり方ですし、
実際、かなり儲かる仕組みだから導入されているのでしょう。
でも、clusterはその道を選ばなかった。
その理由がなんとなく腑に落ちたのが、社長の著書を読んだときでした。
そこには、clusterは「インフラを目指す」とはっきり書かれていたからです。
インフラである以上、短期的にお金を回すために、ユーザーを煽り、競わせ、疲弊させる設計は相性が悪い。
静かで、地味で、一見すると非効率にも見える判断ですが、「長く使われる場所」を作ろうとしているのだと考えると、この選択にも、ちゃんと一貫性があるように思えてきます。
まとめ
clusterは流行っていない、と言うのは簡単です。
でも、ここまで見てくると
「そもそも何を目指しているのか」という前提が、他のVRSNSとは違っているようにも思えてきます。
派手で、美しくて、特別なVR体験を求める人がいる一方で、イベントを安全に、簡単に、法的にもクリアに成立させたい人もいる。
clusterは、その後者に向けて、かなり真面目に場所を作ってきました。
国際展示場が毎日満員である必要がないように、
clusterもまた、
常に賑わっていることより、必要なときに機能することに価値があるのかもしれません。
もし、
「他のメタバースについては、正直よく知らない」
という方がいたら、ぜひ一度、いろいろな場所を覗いてみてほしいなと思います。
どのメタバースにも、それぞれ独自の文化があって、良くも悪くも、ちゃんと“色”があります。
合う・合わないはあっても、触ってみると意外と発見が多いものです。
そうやって外からclusterを見てみると、何が得意で、何が苦手で、そしてどこに魅力があるのかが、少しずつ見えてきます。
比べること自体が目的ではなく、理解した上で、どう使い、どう盛り上げていくかを考える。
そんな視点が増えていけば、clusterは今とはまた違った形で、ちゃんと評価されていくんじゃないかなと思っています。
ということを踏まえて、個人的にclusterというプラットフォームをアピールするとすれば
「イベント! とにかくイベントが見に行くのもやるのも楽だよclusterは!Vketやサンリオなんかのイベントと比べるとどうしても見劣りはするけど、個人的なイベントをするにはとっても良い!! イベント立てれば自動でフレンドには通知が行くし、公式サイトやアプリの一覧には乗るし、ジャスラック曲も調べて申請すればいいし、投げ銭もシステム側であるから特になにかする必要もないし、活動者の応援グッズを作って買ったりする土壌もあるし、イベント出演したりする時もVRモード疲れたなと思ったら抜けてデスクトップで入りなおせば良いだけだし、普通に権限あるからね、スタッフなら入場制限とか無いし。権限別にコライダー設定できるから、イベント前にパスワード入力とかも特に必要無いし。アバターはVRC用に拘るならちょっとVRM化が面倒だけど出来なくはないし、こだわり無いならVRoidも最近昔と違って結構色々出来るし、何かやりたいことがある人が気軽に挑戦しやすいよ」です。
